PLC基礎知識:電力線通信は屋内用。ADSLや光のライバルではありません
「コンセントでネット接続」というキーワードが先行しています。間違いではありませんが、大きな誤解がありそうです。もしかしたらあなたは「ADSLや光ファイバーのライバル」と考えていませんか? そうじゃないんです。PLC=高速電力線通信は、あくまで屋内の配線で使うもの。家やマンションまでは、通常の光ファイバーやADSLなどで接続され、そこから先の家の中でコンセントを使おうというのが、現在のPLC=高速電力線通信です。
単純に書くと
×間違い インターネット→電灯線→パソコン
○正解 インターネット→光ファイバー→電灯線→パソコン
となります。
当初はダイレクトにPLCだけでインターネット接続しようと考えられていましたが、いくつかの問題により見送られています。法律の改正が必要なこと、電柱に接続機器が必要になること、周波数の特性により信号が減衰してしまう、などの問題があったためです。
「光と契約できないエリアだからPLCを早く実現して欲しい」「地方で光ファイバーやADSLのサービスがない。PLCなら100Vコンセントだからすぐできるはず!」 こんな声もありますが、残念ながらそれは無理。PLCでの直接ネット接続は、今のところ実現の可能性はほとんどありません。コスト的にも無理があります。
PLCはネット家電のためのサービス
PLCは屋内配線のためだけに使うもの。ライバルになるのは無線LANでしょう。もしあなたが新しいマンションに住んでいれば、PLCは不要かもしれません。最新のマンションでは、部屋ごとにLANコネクターがあるものが増えてきていますから。
単なる屋内配線のために、こんなおおごとになるのはなぜ? と思うかもしれません。実は各メーカーがPLCを実現させようとしている理由は、パソコンでのネット接続ではありません。
目的はずばり「ネット家電」。テレビ・洗濯機・冷蔵庫・DVD/HDDレコーダーといった家電をインターネットに接続してコントロールしようという考え方です。
これらの家電にPLCのチップ1つを入れてしまえば、すぐにネットに接続できます。100Vのコンセントをつなぐだけなのですから簡単です。またテレビではネット経由のデジタル放送(ビデオオンデマンドなど)も想定しています。
そのために松下電器、ソニー、日立といった家電大手が、PLCを熱心に推進しているわけです。パソコンでのネット接続はあくまで一つのファクター。本当の狙いは、ネット家電のキーとしてPLCを使うことです。