OP25Bとは?[2] 導入プロバイダの利用者はちょっと厄介
携帯の迷惑メールやパソコンでのSPAM対策として「OP25B(Outbound Port25 Blocking)」が注目されています。OP25Bの概要は、前回のOP25Bとは?[1] 携帯迷惑メール対策の決め手になるか? で取り上げましたが、今回はOP25Bを導入したプロバイダーではどうなるのか、という点を見てみましょう。
OP25Bはケータイの迷惑メール・SPAM送信を防ぐ技術。送信メールの出口となるポート25番をカットして、迷惑メールとSPAMの送信を防ごうというものです。うるさい迷惑メールやSPAMを減らしてくれるありがたい技術ですが、実はユーザーにとって厄介な点もあります。
プロバイダー自身のメールサーバーを使っている場合は問題ありません。たとえばOP25Bをもっとも早く導入する@nifty(以下ニフティ)を例に取れば、ニフティが用意しているメールサーバーを使っている分には、何の影響もありません。問題があるのは次の場合です。
上の図のようにOP25Bを導入したプロバイダ(例えばニフティ)に接続したユーザーの場合、問題が起きる可能性がおおよそ3パターン考えられます。
●自宅から会社や大学のメールアドレスで送信したい
●自宅からネット上のメールサービスで送信したい(メールソフトを使っての送信。WebメールならOP25Bの影響は受けない)
●自宅からレンタルサーバーのメールサーバーで送信したい
これがすべてOP25Bの対象となり、そのままではメール送信ができなくなってしまいます。ニフティのメールサーバーを使えばいいのですが、それでは発信元がニフティのアドレスになってしまいます。会社のメールを使うなら、やはり送信元は会社のアドレスにする必要があるでしょう。上の3パターンが使えなくなるのはかなり厄介です。
解決方法はあります。それはカットされるポート25番を使わずに、別のポートを利用する方法。OP25Bを導入するプロバイダーでは、サブミッションポートとしてポート587番を用意します。ユーザーは、メールソフトの設定を変更して「port587」を選ぶことになります。
ただし相手のメールサーバーがポート587番に対応していなければなりません。ここが一番の難関でしょう。企業や学校のメールサーバーが、すぐにポート587番でのメール送信に対応してくれるとは思えません。「外からメール送信できない」と苦情が来てからの対処になる可能性が大です。また中小企業などではOP25Bを理解できずに放置されてしまうかもしれません。
ネット上のメールサービス業者やレンタルサーバーなどでは、ニフティユーザーのためにも早めに対応すると思われます。ただし一部のサービス、また海外のサービスではメールが送信できなくなるかもしれません。
つまりOP25Bでは、ユーザーだけでなくサーバー側が対応してくれないと、厄介なトラブルが起きるのです。サーバー管理者がOP25Bを理解した上で、ポート587番での送信に対応し、さらにSMTP認証(送信時にユーザー認証を行う)を実施する必要があります。
ネットワーク管理の仕事をなさっている方は、ぜひともOP25Bの詳細をチェックなさってください。2006年5月にはニフティがOP25Bをスタートさせますから、それまでに対応する必要があります。ニフティでの対策例を紹介しておきます。
@nifty会員サポート Outbound Port25 Blocking Q&A
迷惑メール対策@nifty OP25Bの対応
なおOP25Bを実施するプロバイダーでの自宅メールサーバーも影響を受けますが、
サーバーの簡単な設定変更で済むので大きな問題は起きないでしょう。
ニフティでの対応スケジュールは以下の通りです。他の大手プロバイダーも、これを追いかけるようにスタートさせるはずです。
2005年10月:携帯電話アドレス向けのOP25Bを実施
2006年5月:全アドレス向けのOP25Bを実施予定